「膠着(こうちゃく)スナマチ株式会社奮闘記」を読みました。
くっつかない接着剤を売る
物語の核となるスナマチ株式会社はのりなどの接着剤を製造販売する会社です。
その会社でくっつかない接着剤を開発してしまい、それをどう売るのか、があらすじです。
そのなかに社内政治だったり、企業買収だったり、社内恋愛だったり、日本のサラリーマンとは?といった問いだったり、会社にまつわるあらゆる要素を盛り込んだ小説です。
主人公の啓太と同じ新入社員が読んだらいいのかな、なんて本です。
心に残った文章
半人前の社員を手間暇かけて一人前に育て、その間も給料をくれるのだ。
それはたしかに、親方に弟子入りして一人前になるまで仕込まれる日本型の職業修得の体系なのかもしれない。いや、そういう伝統はヨーロッパの職人たちの間にもあったはずだ。
モノを作るというのはそういうことだと、啓太は思った。問題はモノを作る人よりもそれに金を貸す人や、金を集める人のほうが豊かで偉くなったということだと啓太は思っていた。
いろんなものがギュッと凝縮された文章だと思います。
終身雇用や徒弟制度の言及し、資本主義への懐疑的な見方まで展開する。
働き方を考えるうえで、大事なことがたくさん詰まっていると思います。
まとめ
今野敏さんの本は好きで、「隠蔽捜査」や「同期」などのシリーズ警察モノと「任侠」シリーズをよく読みます。
今回の膠着は「任侠」シリーズに通ずるものがあるな、と。
やくざが書店や学校、病院などを経営したらどうなる?といった視点の本ですが、企業というある種の生命体がどうやったらうまく生きられるのか、まっすぐな視点で描いている作品です。
膠着はサラリーマンがサラリーマンとして、まっとうに成長するには、といったことが書かれている気がします。
この春から社会人として働こうという新入社員が読むべき本かもしれないですね。
投稿者プロフィール
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1983年5月生まれ。群馬県出身。
新聞記者のブラックな生活に疲れ、一念発起で国家資格を取得。
2016年11月からめろめろパパに。
世のパパたちよりも家事育児の割合の高い日々を過ごしています。
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