書評:才能の正体

才能の正体、これがわかれば効率的かつ効果的に才能が伸ばせると思いませんか。

私はそう思って、この本読みました。

自分の才能というよりは、娘の才能を伸ばす、というためにですが。

ビリギャルの著者の新刊

この本の著者である坪田信貴さんは「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」、通称“ビリギャル”の著者でもあります。

坪田さんが塾長を務める塾で起きた奇跡を著したのがビリギャルですので、学年ビリだったギャルの偏差値を1年間で40上げて慶応大学に合格させた人ということ。

そんな人が突きとめた「才能の正体」。

信頼が置けそうだと思いませんか。

才能は生まれつきのものではない

「才能研究家」を自称する坪田さん。

自身が幼いころから「才能って何なのだろう」と疑問を持っておられたそうです。

周囲から神童と呼ばれながら、それでいてIQがとても低かったそうです。

才能が生まれ持ったものであるならばIQと学力テストの結果が比例しないことに矛盾が生じる、と感じたところから、才能というものに興味を持ち、研究してきたとのこと。

坪田さんは才能は天賦のものではなく、“誰にでもあるもの”と結論付けています。

本書は大きく分けて二部構成

この本で書かれていることは大きく分けて2つです。

ひとつは子どもの教育。

もうひとつは大人の、人材マネジメントについてです。

どちらも興味深い内容でしたが、もともと読み始めたきっかけが娘の才能をどうやって伸ばすかという観点ですので、子どもの教育についての部分が心に深く残っています。

子どもの才能を伸ばすも殺すも親次第

才能を伸ばしていくうえで大事なのが、才能を伸ばそうという動機付け。

動機付けは『「認知」、「情動」、「欲求」の3つの行動から成り立つ』のだそうです。

読んでみて、この3つのなかで「認知」が一番大切なのかなと思いました。

人間というのは「これなら自分にできそう」で、しかも「これはきっと人生の役に立つに違いない」と思えたら、行動に移すものなのです。

この一連が「認知」というものなのですが、大人が子どもに対して「これなら自分にできそう」かつ「これはきっと人生の役に立つに違いない」というものを設定してあげられるか。

この点がとても大事なんだと思います。

東大出身の親から東大生がたくさん生まれる理由は?

坪田さんの考察ですが、東大生の親から東大に合格する子が多く生まれるのは遺伝の影響よりもこの認知がうまくできるからではないかとしています。

東大に合格できた親だから、子どもに対して、「合格が自分にできそう」、「合格することは人生の役に立つこと」と思わせてあげられるから、子どもが東大合格に向けた行動に移せるってことですね。

うちの子に東大合格なんて出来っこない、って親が思っていたら、子どもも同じ認知をしてしまうんでしょうね。

自分で「やろう」と決めたのなら、周りの人たちは「あなたがそう思うなら、やってみたら?」と声をかけてあげた方がいいのです。

これが親のあるべき姿のようです。

子どもの認知を正しい方向に導き、可能性を信じてあげる。

この姿勢で行きたいと思います。

また、この本では「今の学校教育を信じていると、能力は伸びない」という章立てで、現在の公立学校での教育についての欠陥を述べています。

私自身が小中学生のときに感じていた閉塞感をとても的確に言い表してくれていました。

右にならえで、生徒全員に対して同じ教育をしている、ということを痛烈に批判しています。

簡単にまとめると「戦後に作られたシステムで相変わらず教育が行われているため、現代で通用する能力が伸びていない」ということなんですけど、子育て世代にはしっかり読んでほしいなと願う部分です。

さすが、1300人の子どもを指導してきただけあるな、と思わせる文章でした。

習うことは上達への近道

世の中のことは、何でもかんでも習わないといけないわけではないですし、習わなくてもできることは、当然たくさんあります。しかし。”理屈を習う”と、どんなことでも、より早く効果的に能力を伸ばすことができる

いままさにこのことを実感しています。

教わらなくたって子どもは育ちます。

でも効果的に子どもを育てていく方法は世にたくさんあるはずです。

そのひとつを学ばせていただいた本だと思い、ここでの学びは今後の子育てにおいて大事にしていきたいと思います。

才能の正体

才能の正体
坪田信貴

投稿者プロフィール

皐月 悠詩
皐月 悠詩
1983年5月生まれ。群馬県出身。
新聞記者のブラックな生活に疲れ、一念発起で国家資格を取得。
2016年11月からめろめろパパに。
世のパパたちよりも家事育児の割合の高い日々を過ごしています。

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