書評:資本家マインドセット(著:三戸政和)

この本は、NewsPicksアカデミア会員に毎月届けられる「NewsPicks Book」で手に入れた本です。

「さらばサラリーマン」という強烈な帯に惹かれ、読みかけの本を差し置いて、読み始めました。

資本家とは何ぞや

この本は、資本家のマインドセット(考え方や心のあり方)を説いた本です。

ではここでいう資本家とは何でしょうか。

著者の三戸政和さんは資本家について「好きなことを、好きなひとと、好きなようにやる人」だと定義しています。

ちょっとこの説明だけではわかりにくいですね。

「さらばサラリーマン」という観点から考えると、サラリーマンは資本家と正反対にいます。

好きでもないことを、好きでもないひとと、決められたようにやるひとがサラリーマンですよね。

なかにはサラリーマンとして仕事をしているなかでも、好きなことをやれているひとや好きな上司と働けているひともいるかと思います。

が、それは一部の例外でしょう。

この本では「好きなことを、好きなひとと、好きなようにやる」という資本家のマインドセットは何か、資本家になるために必要なことは何か、が書かれています。

著者の三戸政和とは

この本を書いた三戸さんは株式会社日本創生投資の代表取締役社長です。

といってもどんな会社かもわかりませんよね。

中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行っている会社です。

資本家になるひとつの方法がこの下線部ですので、こちらはのちほど詳しく紹介します。

大学卒業後、ベンチャーキャピタリストとしてベンチャー投資や投資先にてM&A、株式上場などを行ってきました。

その後、サラリーマンとして働き方に限界を感じ、2011年兵庫県議会議員に出馬し当選。

地方議員では何も行政を動かせないと、首長となるべく2014年地元の加古川市長選挙に出馬するも落選します。

ここからはフランスで和牛の販売会社のコンサルティングをやり、いまに至ります。

1978年生まれですので、40歳にして実に多彩な経歴の持ち主ですよね。

中小企業の事業再生・事業承継に関するバイアウト投資

三戸さんが自分の会社でやっていることをざっくりいうと、実力はあるのにうまくいっていない中小企業を買収して、立て直して、配当や売却益を得るというものです。

うまくいっていないというのは、経営がうまく回っていないということもあれば、後継者がいないなんて場合もあります。

そういう会社の株式を購入し、社長として業績を立て直します。

立て直し後は、その会社が稼げる方法を仕組み化し、自分は経営から離れます。

持っている株式分の配当を受け取るか、良くなった業績で算定された価格で売却するか。

インカムゲインを得るか、キャピタルゲインを受けます。

これが資本家的な生き方です。

この点については、「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」に詳しく書いてあるそうです。

実は積ん読になっています、この本(笑)。

タイトル気になって買ったものの、どんどん出てくる他の興味に押されて読めていません。

業績を立て直すなんて素人にできるの??

会社を買うことができても、立て直すなんて簡単にできないんじゃない?という疑問がわきます。

三戸さんはベンチャーキャピタリストの経験があるからできるんじゃないの?とも思います。

その点については、ソフトバンク創業者・孫正義さんが唱えた「タイムマシン経営」を引き合いに出して解説しています。

孫さんは1990年代末から2000年初頭にかけて、このタイムマシン経営を盛んに唱えていました。

これは、一歩先行くアメリカの経営を日本に持ち込めば、日本では未来からタイムマシンに乗ってやってきたように経営できるというもの。

これは日本国内で、この2019年のいまでも可能だと三戸さんは説きます。

大企業の経営管理手法は中小企業にはまだ浸透しておらず、タイムマシン的に導入可能だと。

また、地方の会社に対して、都心の会社の経営手法はタイムマシン的に導入可能だと。

大企業であれば当然のことも、中小企業ではできていないこともあるんです。

そういった自らがサラリーマンとして身に付けたものを、ノウハウとして提供できれば中小企業の立て直しは不可能なものではないと三戸さんは自身の経験から言います。

福井のメガネ工場での私の経験

私は会計士として、経理や会計についてのコンサルティング業務をしてきました。

そのうちの1社で福井・鯖江のメガネ工場に行く機会があったのですが、これがまさに三戸さんが言っているものでした。

その会社はピーク時には約60億円もの売上がありながら、経理はたった1人。

在庫管理も徹底されておらず、不良在庫は山積み。

直近では約20億円まで売上が落ち込んでいました。

それでも技術力は高く、ヨーロッパの一流ブランドからOEM供給を依頼されるほど。

結局ヨーロッパの会社に買収される形で、生き残りの道を取りました。

これをヨーロッパの会社ではなく、サラリーマンがやれるか、ってとこですね。

これって会計士が得意な分野なのでは??

ここで思ったのが、自分でも実例を思い出せるくらいですから、会計士にはもってこいな分野なのでは、ということ。

会計士に監査を依頼する企業というのは、いわゆる大企業がほとんどです。

財務諸表に関わる経理や会計に関することはもちろん、内部統制の監査ということで社内の主要な業務プロセスにも精通しています。

こういった経験で培ったノウハウを、うまくいっていない中小企業や地方の企業に提供できれば、立て直しに寄与できるのでは、って思ってしまいます。

新しいビジネスを生み出すようなクリエイティビティはないかもしれませんが、1を2にでも3にでも大きくしていくことはできるかもしれないって夢見ます。

おまけ的に言うと、実は三戸さんは大学時代に会計士を志した方なのだそうです。

私が会計士を志した理由ってここにあったのでは

この本を読んでいると、地方企業や中小企業の中にはちょっとしたきっかけで輝ける可能性がある会社があると気づかされます。

そのきっかけを与えることができるのでは、という思いで志したのが会計士という仕事でした。

「日本を元気にしたい」と2010年に合格した際に、予備校の合格体験記に書いています。

その可能性にこの本で出合った気がします。

もしかしたら来年のいまごろには私、資本家として活躍してるかもしれませんね!

資本家マインドセット裏表紙

資本家マインドセット
三戸 政和