久しぶりに読み応えのあるおもしろい本に出会いました。
途中から先が気になりすぎて、朝5時から一気読みをしてしまうほどでした。
横山秀夫「64」以来6年ぶりの長編
このノースライトの著者は横山秀夫さんです。
クライマーズ・ハイや64などで有名な著者です。
私は「半落ち」を読んで以来のファンです。
久しぶりの長編ミステリーということもあって楽しみにしていました。
群馬ゆかりの作家
横山さんは群馬県にゆかりが深い作家さんです。
どんな縁があるかというと、大学卒業後に就いた仕事が上毛新聞社の記者。
上毛新聞は群馬県の地方紙です。
その関係から、群馬が登場したり、群馬を思わせる作品が多いのが特徴です。
クライマーズ・ハイは御巣鷹山に航空機が墜落した日航機墜落事故を扱っていたり、映画「64」はロケ地が前橋市だったりします。
今作にも高崎市の少林山が登場するなど、群馬を感じさせます。
建築家が主人公
この作品は建築家が主人公です。
いろいろな事象が複雑に混じり合う作品なので、中身をうまく紹介するのは難しいので避けます。
建築物に関する文章や著名な建築家が登場するなど、建築に携わったことのある方は興味の持てる小説だと思います。
またミステリーとしても大変おもしろく、なぞが解けていく感じがとても気持ちよかったです。
心に残った言葉たち①
人が家に抱く拘りは単なる趣味や嗜好にとどまらない。個々の価値観や秘めた欲求が炙り出される。それは未来志向というより、むしろ過去に根ざしている。来歴が耳元でひそひそ囁き出すのだ。何が大切で何が大切でないか。何が許せて何が許せないか。
心に残った言葉たち②
「ユーアー……?」
<ユー。あなたはあなたよ、って。パパもママもあなたを大好きだし、いつまでもパパとママの子供だけど、それでもあなたはあなた、ずっと見ていてあげるから、あなたが心のときめくほうに向かって真っ直ぐ歩きなさい、って>
心に残った言葉たち③
経験が才能や理念に勝るのは一定レベルまでのことで、それを超えれば、人ひとりのちっぽけな経験など、大いなる才能が紡ぎだす理念理想の前に跪くしかない。
心に残った言葉たち④
住宅にせよ家具にせよ衣服にせよ欧米の事物を取り入れる段になると、日本人の持つ優れた感受性はいったいどこへいってしまったんだろうって思うほど無批判になる。ただ欧米で流行してるってだけで有頂天になってしまう。
心に残った言葉たち⑤
イカモノを生産しないための心構えは四つだ。材料の正しい選択。諸材料の正しい取り合わせ。材料の正しい処理。それと、用の充足
心に残った言葉たち⑥
新奇なものを作ろうとする欲求そのものが、既に質と矛盾している、ってことさ。優れた技術は、中断することを許さない一つの長大な連鎖をなしており、質はこの連鎖の中に保存され、ただ形や装飾などが極めて些細な変化を、それも外面的変化を受けるに過ぎないから…。
投稿者プロフィール
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1983年5月生まれ。群馬県出身。
新聞記者のブラックな生活に疲れ、一念発起で国家資格を取得。
2016年11月からめろめろパパに。
世のパパたちよりも家事育児の割合の高い日々を過ごしています。
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