『かみはこんなに くちゃくちゃだけど』

ヨシタケシンスケ祭り第2弾です。

書店に行った際にヨシタケシンスケ最新刊ということで手に取りました。

買った時期 5歳6か月
ハマった時期 買ってすぐ

なぜヨシタケシンスケ祭り?

なぜヨシタケシンスケ祭り?なのでしょうか。

それは近く、『ヨシタケシンスケ展かもしれない』に行くからです。

この展覧会を楽しむために、ヨシタケシンスケ作品をたくさん読んでおこう、というわけです。

なのでお祭りなのです。

ちなみに『ヨシタケシンスケ展かもしれない』はヨシタケシンスケ初の大規模展覧会で、2022年4月9日~7月3日の会期で、世田谷文学館で行われています。

簡単な内容紹介

こちらは出版社の白泉社のHPからの内容紹介です。

MOE絵本屋さん大賞2020第1位を受賞した『あつかったら ぬげばいい』の姉妹編が登場!
歌手になりたいと願う女の子、自分が何に向いているかわかったおじいちゃん、朝顔の花が咲いたのを発見した女の子…。
こんな時代だからこそ、日常に小さな希望を見つけたい。
どこかのページに、あなたがいるかもしれません。
子どもだけでなく、大人も何度も開きたくなる絵本です。

書店で見て、初めて出版されていることを知ったくらいでしたので、なんの先入観もなく読みました。

“状態”と“思い”がアンマッチ

絵本なので、ネタバレも何もないと思いますが、少し絵本の内容を書きます。

いつかかしゅになりたいの かみはこんなに くちゃくちゃだけど

「いつかかしゅになりたいの」がタイトルにもなっている「かみはこんなに くちゃくちゃだけど」の上の句です。

上の句が「〇〇なの」、下の句が「△△だけど」。

このスタイルで様々なことがらを表現していきます。

この作品の核となるのは「だけど」という言葉。

これは「けれども」がくだけた言い方で、この「けれども」は、デジタル大辞泉によれば、『前に述べた事柄と相反する内容を導く語』とのことです。

なので、倒置法的に、上の句と相反する内容を下の句で述べるわけです。

かみはこんなにくちゃくちゃなんだけど、かみがくちゃくちゃな歌手なんていないんだけど、私は歌手になりたいんだ、という“状態”と“思い”のアンマッチ。

このアンマッチさが題材となっています。

感情のグラデーションがおもしろい

このアンマッチさによって生み出されているのが“感情のグラデーション”です。

100%楽しいとか、0%悲しいとか、人間の感情ってそんなに白黒はっきりしたものじゃなくって、もっと複雑です。

「楽しい70%、悲しい30%」とか、「おもしろい58%、うれしい37%、せつない5%」とかあるじゃないですか。

そういったのを読み取るのがおもしろいなって思うんです。

白泉社の文章にも出てきた「自分が何に向いているかわかったおじいちゃん」を例に挙げると、

じぶんがなににむいているかわかったの

40ねんかんやってきたこととは なんにもかんけいなかったけど

向いていることがわかったじんわりとした喜び82%、

40年間なにやってきたんだろうなぁ的悲哀18%、

みたいな。

正解はないしどうでもいいんだけど、そういった感情を読み取るのが楽しいです。

成し遂げたい思いを大切に

この絵本では登場人物がおとなだったり、こどもだったりします。

こどもにスポットライトが当たっているときは、思いの部分が将来に向けてのものになっています。

将来成し遂げたい大きなことがあるの いまはまだこんなちっぽけだけど

ってなトーン。

なんかね、こども向けの絵本としてはここにヨシタケシンスケさんのメッセージがあるような気がしています。

いまどんなにちっぽけな存在で大それたことはできないように思っていても、その成し遂げたいと思っている大きなことは大事に思っていてね、といった感じ。

私はそう読み取って、こどもの読み聞かせのときには、そう伝わったらいいなと思いながら読んでいます。

「かみはこんなにくちゃくちゃだけど」からの絵本拡大戦略

内容からつながれる良い絵本に私はまだであったことがありません。

なので、ヨシタケシンスケつながりで、私がいちばん好きな作品を拡大戦略で載せておきます。

それは「あきらがあけてあげるから」です。

詳しくはこちらの書評をご覧ください!

 

 

かみはこんなに くちゃくちゃだけど

かみはこんなに くちゃくちゃだけど

  • 作者:ヨシタケ シンスケ
  • 出版社:白泉社
  • 発売日: 2022年04月01日頃

投稿者プロフィール

皐月 悠詩
皐月 悠詩
1983年5月生まれ。群馬県出身。
新聞記者のブラックな生活に疲れ、一念発起で国家資格を取得。
2016年11月からめろめろパパに。
世のパパたちよりも家事育児の割合の高い日々を過ごしています。

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