「ホケツ」というタイトルからもわかるとおり、スポーツにおける「補欠」を題材にした物語です。
舞台は高校のサッカー部。
主人公はやはり補欠です。
ホケツ選手の心理描写が秀逸
ホケツ選手って、どうしても自分がホケツであることを隠したいです。
主人公の宮島大地も自分の保護者に対して、レギュラーであるような嘘をついています。
この気持ちよくわかります。
私も高校時代のラグビー部でレギュラーを外された時期があり、そのときは「いろいろなポジションができるから、サブとして重宝されている」などと自分で慰めたりしていました。
事実、ラグビーでは15個のポジションがあるのですが、そのうち11のポジションを経験しています。
だから、ホケツに置いておけばどのポジションの選手がケガしても、私が代わりになれるというのは事実ではありました。
ですが、どのポジションでもレギュラーだった選手にかなわなかったってのが真実ですよね。
それを都合よく解釈することで、傷を隠すというか…。
なんかそういった気持ちをうまく表現している作品だな、と。
部活動における連帯責任の不可解さに言及
若干のネタばれにはなりますが、この本では「部活動における連帯責任」について問題提起のようなものがなされています。
部員の飲酒や喫煙などで甲子園の出場辞退など、報道で耳にしますよね。
他の部員は関係ないのに、部全体で責任を取る、といったようなやつです。
この本では主人公の宮島大地が、この「部での連帯責任っておかしくないか?」と悶々とする場面があります。
部活動と関係ないところでの部員(元部員)の喫煙が問題になり、大会の出場が危ぶまれたのです。
部活動と関係ないところでの不祥事なのに、なぜ部全体が責任を取らされるのだ?と。
部活動と関係ない場面であっても部員だとくくられるのであれば、もっと大きく同じ高校の生徒としてくくるべきじゃないか。
連帯責任だというなら、高校全体で責任を取るべきなんじゃないか。
大枠はこんな感じです。
これに関しては私も同意見です。
なぜひとりの過ちを全員で償わねばならないのか。
部と関係ないところでの不祥事であれば、部は関係ないじゃないか
ひとつもロジックの通っていないことで、これまで頑張ってきた他の部員の努力をふいにしてはいけないんじゃないか。
そんなことを考えさせられました。
まとめ
さらーっと読めてしまう小説です。
ですが、個人的には立ち止まって考えさせられることが多かった作品でもあります。
部活をやっていたひとも、やっていなかったひとも楽しめると思います。
久しぶりにキュンキュンとした“青春”ってやつを感じたひとときでした。
投稿者プロフィール
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1983年5月生まれ。群馬県出身。
新聞記者のブラックな生活に疲れ、一念発起で国家資格を取得。
2016年11月からめろめろパパに。
世のパパたちよりも家事育児の割合の高い日々を過ごしています。
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